【旋盤】切削条件:汎用旋盤、NC旋盤の重要な切削速度と回転数。推奨切削速度と適正切削速度を考える

【旋盤】切削条件:汎用、NC旋盤で重要な切削速度と回転数。推奨切削速度と適正切削速度を考える
目次

1.旋盤と回転数の重要性について

1. 旋盤の回転数の重要性について

旋盤作業において、回転数は切削速度を調整するための重要な要素です。回転数によって、切削の精度が向上し、工具の寿命も延び、作業の効率も向上します。結果、最終的な製品品質も向上します。

切削条件の中でも特に回転数が大きく影響します。

この記事では、なぜ回転数が重要なのか、その役割と影響を詳しく説明していきます。また、具体的な事例を挙げて、材料ごとの正しい回転数の設定方法についても紹介します。切削条件を最適化し、熟練工への第一歩を踏み出しましょう。

また私自身、回転数や送りなどの回転数から切削時間を求めるツールが欲しかったので、作ってみました。

皆さんもぜひ使ってみてください。

計算ツールを使いたい方はクリック↓↓↓

2.切削速度と回転数の基本

2-1.切削速度とは

切削速度、簡単に言うと、工具を使って「1分間に切削出来る距離(メートル)」です。この速度は、旋削において品質や生産性に大きく影響を及ぼします。

単位は(m/min)で、分あたりの移動距離ということが単位からも言うことができます。

切削速度が大きいほど、切削出来る距離も長くなるということが解ります。

2-2. 回転数とは

回転数は、簡単に言えば、「旋盤の主軸が1分間に何回転するか」を示す値です。

単位は(min⁻¹)ですが (rpm)と表されているものも見たことがあります。

両方とも1分間当たりの回転数という意味です。

次は、切削速度と回転数の関係について詳しく見ていきましょう。

2-3. 切削速度と回転数の関係

切削速度と回転数の関係は、以下の式で表されます。

\[ V \, (\text{m/min}) = \frac{\pi \cdot D \cdot n}{1000} \]

切削速度V(m/min)

材料の直径D (mm)

回転数n(min-1)

つまり、切削速度は、被削材の直径Dと主軸の回転数nによって決まるということです。

解りやすく説明するならば、自動車や自転車を思い浮かべてみると良いと思います。

回転数n→タイヤの回転数、切削速度V→車速、外径の直径D→タイヤの大きさです。

タイヤの回転数が同じでもタイヤの大きさにより車速が変わっていまいます。

タイヤが大きくなると同じ回転数でも、車速が速くなります。

切削速度から決める理由

なぜ回転数ではなく、切削速度から決めるかというと先ほど出てきた、自動車や自転車のイメージを持つと良いでしょう。タイヤの回転数から車速を決めるよりも、車速を先に決めるほうのが感覚的にも解るからです。

切削速度をまず決めることにより安定した切削が可能になります。

3.NC旋盤の切削速度の適正値

切削速度と回転数の適正値は、被削材の材質、刃物の種類、加工方法などによって異なります。一般的な目安としては、以下のとおりです。

※あくまでも目安です。細心の注意を払って安全に加工しましょう。

※ここで言う一般的な目安として、京セラ、ミツビシマテリアルの推奨切削条件(湿式推奨)の平均、チップの選定を標準なもののにして、抽出してみました。

※日々チップの性能は上がっているので、過去の文献などの切削速度より上がっている傾向にあると思います。

メーカーの推奨切削速度は15分間で寿命に達するまでの切削速度を基本速度としているので、最小の値の7割位で切削してみてから、切削条件を変えていきましょう。

初めて加工する材質も推奨切削条件の7割位で、加工してみます

被削材の材質切削形態F(mm/rev)推奨切削速度(m/min)初見の材料の切削速度の目安(m/min)
SS400、S10C、SCM4150.2-0.4
180-260126
仕上げ0.07-0.2250-400175
S45C、SCM4350.2-0.4150-240105
仕上げ0.04-0.28200-320140
SKD61、SKD110.2-0.5120-2284
仕上げ0.04-0.28120-26084
SUS303、304、316、0.2-0.4100-18070
仕上げ0.08-0.2120-20084
AL0.1-0.4200-500140
仕上げ0.1-0.4400-700280
焼き入れ鋼、高硬度0.05-0.280-12056
仕上げ0.05-0.1100-20060
[表1]切削速度の目安値
被削材の材料推奨切削条件(m/min)初見の材料の切削速度の目安(m/min)
S45Cなど 炭素鋼100-15050
SUS304など ステンレス鋼100-15050
アルミなど 非鉄150-40070
[表2]ねじ切りの切削速度の目安値

4.汎用旋盤の回転数の適正値

上の[表1、2]の切削速度Vから回転数n(min⁻¹)を求めます。

汎用旋盤では切削速度から回転数を求める。

切削液を使わない乾式による汎用旋盤は、さらに条件を1割くらい下げてもいいとおもいます。

NC旋盤は周速一定で回転数を制御してくれるので、切削速度で考えます。

切削速度と回転数の調整方法

切削速度と回転数は比例の関係です。外径が同じでしたら、回転数が2倍になれば切削速度も2倍になります。その逆に回転数が半分になれば、切削速度も半分になります。

切削速度と回転数の影響って?

切削速度と回転数は、加工精度と加工効率に大きく影響します。切削速度を上げすぎると、刃先の摩耗が早まり、加工精度が低下する可能性があります。逆に、切削速度を下げすぎると、構成刃先ができやすく、また生産性が低下します。

切削速度、回転数を速くすると
  • 加工精度が向上する
  • 加工効率が向上する
  • 刃先の摩耗が早まる

旋盤経験者向けのアドバイス

旋盤経験者であれば、切削速度と回転数の基本的な関係や適性の切削速度は経験から理解していると思います。しかし、以下の点に注意することで、より生産性をあげて旋削をすることができます。 テイラーの法則:メーカーの推奨切削速度は15分間で寿命に達するまでの切削速度を基本速度としている。メーカーの推奨切削速度が、早いと感じるのはこの法則からきているからです。

↓↓詳しく知る↓↓

5. 切削速度の計算例

5-1. 切削速度の基本式

切削速度を計算するには、以下の基本式を使います。

\[ V \, (\text{m/min}) = \frac{\pi \cdot D \cdot n}{1000} \]

ここで、πは円周率(約3.14)を表し、ワークピースの直径(D)は材料の大きさ、回転数(n)は主軸が1分間に回転する回数を示します。

5-2. 例題を使った切削速度の計算手法

例題1)

メーカーの推奨切削速度:200m/min

外径φ100

回転数を求めよ。

初見の材料は、メーカーのカタログに記載されている推奨切削速度に安全域を3割とります。

200×0.7=3.14×100×n/1000

n=446(min⁻¹)

となります。汎用機の場合回転数に制限があるので、445.86(min⁻¹)に近い回転数を選択いたします

例題2)

メーカーの推奨切削速度:300m/min

外径φ100

回転数を求めよ。

初見の材料は、メーカーのカタログに記載されている推奨切削速度に安全域を3割とります。

300×0.7=3.14×100×n/1000

n=669(min⁻¹)

例題1)、例題2)これから言えることは、切削速度が上がると回転数も上がるということが言えます。

また、切削速度が一定ならば外径が小さくなると回転数も高くなるという関係があります。

なお、外径が一定の場合、切削速度を上げると回転数も上昇され、切削時間は短縮されます。

6 . 旋盤と回転数についてのわたしの体験談

6-1. 実際の経験から得た回転数の決め方

ドライ加工しているとチップから火花が出ると回転数は速いです。

安定切削よりも音が高くなるようなときも気を付けます

6-2. 経験から得た教訓

初心者の頃は、とにかく視覚と聴覚で経験を積み重ねることに尽きます。

切削速度を上げると言うまでもなく、切削時間は短くなります

7.「見積時の目安に」回転数から加工時間(生産性)を計算する

切削時間をざっくり調べることは、見積もりを取る際にも非常に重要です。

計算して見積もりを繰り返していけば無駄に安く仕事を受けることも減少します。

また、自分の会社なりの安全係数を掛けて出すことにより、安定して見積もりをすることも

可能になると思います。

↓↓外径切削↓↓

↓↓端面切削↓↓

※外径D₁>外径D₂

8.まとめ

旋盤の回転数の重要性

旋盤での作業において、回転数は切削速度の調整に当たり、切削の精度、工具の寿命、作業効率、製品品質に大きな意味があります。

切削速度と回転数の基本

切削速度は刃物が1分間に切削できる距離を示します。
回転数は旋盤の主軸が1分間に回転する回数を表します
・切削速度は回転数と被削材の直径に関連しており、比例な関係があります。

切削速度の適正値

切削速度の適正値は被削材の種類や刃の種類によって異なります。
一般的な目安が提供されていますが、メーカーの推奨条件を参考にし、安全領域を考慮することが大切です。

切削速度と回転数の関連性

切削速度を増やすと、加工精度や効率が向上するが、刃先の摩耗が速くなります。
切削速度と回転数は比例関係にあり、外径が同じなら回転数が2倍なら切削速度も2倍になります。

旋盤経験者向けのアドバイス

テイラーの法則を考慮する。

生産性の計算

切削速度から切削時間を計算し、見積りの作成。生産性向上に活用します。

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