CAD/CAM×AIで旋盤加工はどう変わる?Fusion × Claudeを見てNAZCAユーザーが本当に欲しい機能

当ページのリンクには広告が含まれています。
AI×CAD
スポンサーリンク

CAD/CAMと生成AIが直接つながったら、旋盤加工の仕事はどう変わるのか。

私は普段、旋盤加工でCAD/CAMを使っています。

最近「Autodesk Fusion × Claude」の取り組みを見て、かなり考えさせられました。

結論から言うと、私がAIに任せたいのは、加工そのものの判断ではありません。

まず任せたいのは「作図」です。

そしてCAMでは、何度も行っている加工条件や加工パスの設定を助けてほしい。

一方で、ビビリそうな加工のパスまでAI任せにしたいとは、今のところ思っていません。

この違いには、実際に旋盤でCAD/CAMを使っていると感じる、かなり現場的な理由があります。

目次

Fusion × Claudeは何が今までと違うのか

Autodeskは2026年、FusionとClaudeなどのAIを接続する「Fusion MCP」を公開しました。

Autodeskの公式説明では、Claudeなどの外部AIがFusionの設計データへアクセスし、Fusion内でジオメトリやフィーチャを作成・修正・確認できます。

さらに自然言語を使い、複数ステップの製造ルーチンを自動化する方向まで示されています。

ここが、これまでの「CADにAIチャットが付いた」という話とは大きく違います。

人間が、

「このコマンドを押して」

「次はここをクリックして」

と一つずつ操作するのではなく、

「何をしたいのか」を伝え、その目的に沿ってAIがCADを動かす。

設計ソフトの使い方そのものが変わり始めています。

私がAIに一番やってほしいのはCAMよりCAD

私は普段、旋盤用のCAD/CAMとしてナスカを使っています。

現場で使っていて、まずAIにやってほしいと思ったのはCAMではありません。

CADです。

製造業では、今でも必ずCADデータを支給してもらえるわけではありません。

図面だけ来て、

「これを加工してください」

という仕事は普通にあります。

当然、CAMへ持っていくためには、自分で加工形状を作図します。

旋盤の場合、基本形状だけを見ると比較的単純です。

例えば、

X50 Z0
X50 Z-20
X60 Z-25
X60 Z-50

というように、加工形状の交点となるX・Z座標が分かれば、その点をつないで輪郭を作ることができます。

ここは、AIと非常に相性がいいのではないかと感じています。

スポンサーリンク

実はNAZCA5にはすでにZX座標による作図機能がある

ここは正確に書いておきたいところです。

現行のNAZCA5 CADには旋盤用の「ZX座標系」が用意されており、X方向を直径入力として扱えます。

さらに「連続線分(表一覧入力)」では、終点座標を入力して連続形状を作図できます。軸物形状を表入力する「ブロック作図」も搭載されています。

つまり、

「X・Z座標を入力して線をつなぐ機能そのものが欲しい」

という話ではありません。

私がその次に欲しいのは、

AIが支給図面を見て、その座標を拾うところからやってくれることです。

人間が図面を見て寸法を読み、

座標を計算して、

CADへ入力して、

形状を確認する。

その途中をAIに任せたい。

例えば、

「この旋盤図面の加工輪郭を作って」

と指示する。

AIが図面からX・Z座標を読み取り、NAZCA側の作図機能へ入力する。

そして、

「φ80の部分だけ長さを5mm伸ばして」

と言えば、該当部分だけ修正する。

私がFusion × Claudeを見て魅力を感じたのは、こういう世界です。

寸法が一部分だけ変わったときほどAIが欲しくなる

旋盤加工では、完全な新規形状だけを作図しているわけではありません。

以前作った製品とほとんど同じ。

でも、

「この径だけ違う」

「この長さだけ違う」

という仕事もあります。

こういう修正は難しくありません。

難しくないからこそ、人間がずっとやる必要があるのかと思います。

形状の意味を理解したAIに、

「前回品からφ60部分だけφ62に変更」

と伝える。

そして作図まで終わる。

こういう使い方ができれば、CAD/CAMにAIを入れる価値はかなり大きいと思います。

AutodeskもFusion MCPについて、反復的なモデリング作業を減らし、設計の検証へ時間を使えるようにする方向を示しています。

これは製造現場でも、かなり理にかなっています。

スポンサーリンク

CAM作成には実際どれくらい時間がかかっているのか

私の場合、ひとつの仕事でCAMを作る時間は、だいたい30分程度です。

もちろん形状によって変わります。

30分という時間そのものが、とんでもなく長いとは思いません。

ただ、その中には毎回ゼロから考えているわけではない作業もあります。

例えば加工条件です。

この工具なら、この材質、この加工ならだいたいこの条件。

過去にも何度も使っています。

加工パスについても同じです。

工具が同じなら、似た加工では同じ考え方を使うことがあります。

私が欲しいのは、

「前回この工具で加工したときの条件とパスを使いますか?」

くらいまでCAD/CAM側が考えてくれる仕組みです。

毎回、人間が同じ条件を入力し直す必要はありません。

AIでCAMを全部自動化してほしいわけではない

ここからが、CADとCAMで少し考え方が変わるところです。

CADの作図はかなりAIに任せたい。

しかしCAMでは、全部AIに任せたいとは思っていません。

理由のひとつがビビリです。

ビビる可能性がある加工では、私は加工パスを慎重に考えます。

工具の突き出し。

ワークの突き出し。

加工径。

接触する刃先の長さ。

切削方向。

一度条件を決めてNCプログラムまで作ってしまうと、後から全部組み直すのは面倒です。

だから最初の段階で、

「このパスで本当にいけるか」

を考える。

ここには、CAD上の形状だけでは表現できない情報があります。

機械のクセもあります。

以前似た形状を削ったときにビビった記憶もあります。

切削音を聞いた経験もあります。

AIが形状だけを見て、

「最短時間だからこのパスです」

と決めても、それが現場で最適とは限りません。

CADはAIへ、CAMは人間との共同作業へ

今の私の考えはかなり明確です。

CAD側は、もっと大胆にAIへ任せられる。

一方CAM側は、

AIに候補を作らせて、人間が判断する。

この形が現実的だと思っています。

例えばAIが、

「過去の同工具・同材質では、この切削条件を使っています」

「加工時間を優先するならパスA」

「突き出しを考慮して負荷を下げるならパスB」

と提案する。

最後に加工者が選ぶ。

これなら、かなり使いたいです。

NAZCA5 CAM Latheはすでに加工現場寄りの思想を持っている

現在のNAZCA5 CAM Latheには、素材形状を認識してエアカットを減らす機能や、工具干渉を避けるバリア機能、等高線荒取り、倣い荒取り、深溝加工など、NC旋盤向けの機能がすでに搭載されています。

私は、この方向性そのものは非常に好きです。

機能を何でも増やすというより、

旋盤を使う人間が必要とする機能に絞っている。

だからこそ、ここへAIが加わったら面白い。

ただし私が求めているのは、画面の横に「AIチャット」というボタンを付けることではありません。

CAD/CAMメーカーに本当に作ってほしいのは「AIそのもの」ではない

CAD/CAMメーカーが、自社でClaudeやChatGPTのような巨大AIを作る必要はないと思っています。

むしろ欲しいのは、

外部AIがCAD/CAMの機能を安全に使える入口です。

FusionでいうMCPやAPIのような考え方です。

AutodeskはFusion MCPによって、ClaudeなどのサードパーティAIからFusionの設計データへアクセスし、Fusion環境内でアクションを実行できる仕組みを提供しています。

ナスカでも将来的に、

・「この図面から旋盤用の輪郭を作って」

・「前回と違う寸法だけ変更して」

・「この工具を使った過去の条件を呼び出して」

と外部AIから指示できたら、私はかなり使ってみたいです。

ちなみにゴードーソリューションは、設備稼働管理システム「Nazca Neo Linka」ではAPIを公開し、外部システムとデータ連携できる仕組みをすでに提供しています。

そのため私は、CAD/CAM側にも将来こうした外部連携の考え方が広がってほしいと思っています。

AI時代に20年の経験は不要になるのか

Fusion × Claudeを見ていると、

「20年CADを使って覚えた操作が、一瞬でAIに追い越されるのではないか」

と思う部分は確かにあります。

ただ、現場側から見ると少し違います。

AIに渡したいのは、

座標を入力すること。

線をつなぐこと。

寸法違いを修正すること。

同じ加工条件を何度も入力すること。

こういった作業です。

一方で残したいのは、

「この加工はビビりそうだ」

と感じる判断です。

これはコマンド操作とはまったく別の経験です。

おそらくAIによって価値が下がるのは、

「このボタンがどこにあるか知っている」

という経験。

逆に価値が上がるのは、

「AIが作ったものを見て、本当に加工できるか判断できる」

という経験ではないでしょうか。

私がCAD/CAMメーカーに期待していること

私は今使っているCAD/CAMを捨てて、すべてFusionへ移行したいわけではありません。

現場のソフトは、昨日今日で簡単に変更できるものではないからです。

過去データもあります。

使い慣れた操作もあります。

毎日の仕事があります。

だから私は、

今使っているCAD/CAMがAIとつながってほしい。

と思っています。

CADデータをもらえない図面から、自分で輪郭を作図する。

一部寸法が変われば、また修正する。

CAMでは約30分かけて加工条件とパスを決める。

ビビリそうなら、後から作り直さなくて済むように最初から慎重に考える。

これは、今まさに私がやっている仕事です。

この中の全部をAIへ渡したいわけではありません。

考えなくていい作業をAIへ渡して、考えるべき加工にもっと時間を使いたい。

Fusion × Claudeを見て、私はそこに一番可能性を感じました。

CAD/CAMメーカーにこれから期待したいのは、

「AI機能を付けました」

ではなく、

「加工者の経験を残したまま、面倒な操作だけAIへ渡せる仕組み」

なのかもしれません。

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次