この計算ツールでは、メートルねじの呼び径とピッチから、次の数値を自動計算できます。
- おねじ・めねじの理論切り込み量
- 基準有効径
- 谷径や下穴径の目安
- NC旋盤のX軸で使用する直径値
計算結果は基準山形から求めた理論値です。
実際の加工では、公差域クラス、使用工具、材質、機械剛性、刃先の摩耗を確認し、ゲージや測定値を見ながら仕上げてください。
メートルねじ(おねじ・めねじ)加工計算|総切り込み量と基準寸法

- 旋盤歴22年(汎用、半NC、NC旋盤、C陣制御の複合加工機)
- 旋盤屋を経営
- 自動車、製鉄、航空機、工作機械、半導体などの単品仕事で営んでおります
- 加工の奥深さに日々精進
- 本ブログでは、私が勉強してインプット、アウトプット用に作成しています。細心の注意を払っておりますが、間違いがある場合があるのでよく確認してください。

メートルねじの理論切り込み量
一般用メートルねじは、角度60度の山形を基準にしています。
ピッチをPとした場合、おねじの理論切り込み量の目安は次のとおりです。
片側の深さ:約0.6134×P
NC旋盤のX軸を直径値で考える場合は、
直径での総切り込み量:約1.2269×P
です。
めねじの場合は、
片側の深さ:約0.5413×P
直径での総変化量:約1.0825×P
となります。
ただし、これは完成寸法ではありません。
一般用メートルねじの基準山形はJIS B 0205-1、基準寸法はJIS B 0205-4で規定されています。
ねじ切りで一番気を使うのは最後
私がNC旋盤、汎用旋盤のどちらでも一番気を使うのは、最後の仕上げです。
ねじ溝が深くなるほど、刃物とねじ山が接触する範囲が広がり、切削負荷の管理が難しくなります。
途中まではきれいに削れていたのに、
最後の最後だけ「ビビッ」と音が変わる。
寸法は入っていても、ねじ山にビビリ模様が残り、見た目が悪くなることがあります。
そのため、最後まで同じ切り込み量では削りません。
加工音、切りくず、ねじ山の光り方を見ながら、後半ほど切り込み量を小さくしていきます。
工具メーカーも、ねじ切りでは後半になるほど1回当たりの切り込み量を減らす方法を基本としています。
汎用旋盤はビビリを修正しやすい
汎用旋盤でねじ切りができるメリットの一つが、ビビリが出た後の修正です。
私がメートルねじを加工するときは、ハーフナットを入れたまま、主軸を正転・逆転させて同じねじ溝を追います。
この方法では、ねじ送りの歯車比やハーフナットの関係を変えない限り、バイトは基本的に同じねじ溝へ戻ります。
そのため、最初の仕上げでビビリが出ても、
- 切り込み量を減らす
- 刃物を片側へわずかに寄せる
- 同じねじ溝をもう一度追う
- 加工音を聞きながら当たり方を変える
といった修正ができます。
もちろん、同じ条件のまま追えば、前の加工面を拾って再びビビることもあります。
それでも、同じねじ溝の位相を保ったまま、切り込み方を少しずつ変えられるのは、汎用旋盤の大きな強みです。
ビビったら終わりではなく、同じ溝のどこを削れば直せるかを考えられる。
この感覚は、NC旋盤のねじ切り条件を決めるときにも役立ちます。
ゼロカットは毎回行うわけではない
X軸を動かさず、同じ軌跡をもう一度通すゼロカットで、工具や材料の逃げによる削り残しが取れることがあります。
ただし、毎回ゼロカットを行えばよいわけではありません。
刃物が切れずに擦るだけなら、面を悪くしたり、刃先を傷めたりすることもあります。
私は、切りくずが出ているか、音が変わったかを確認して判断しています。
計算値と完成寸法は違う
このツールが表示するのは、加工を始めるための基準です。
実際の合否は、図面で指定された公差域クラスに合わせて確認します。
- 一般的なおねじ:6g
- 一般的なめねじ:6H
- 現物合わせ:相手部品との組み合わせ確認
- 限界ねじゲージ:通り・止まりの判定
- 三針法:おねじの有効径測定
相手のナットが入ったからといって、規格公差内に入っているとは限りません。
仕事として公差を保証する場合は、指定された測定方法やねじゲージで確認してください。
よくある質問
メートルねじの総切り込み量はピッチの何倍ですか?
おねじの理論値は、片側で約0.6134P、直径で約1.2269Pです。ただし、使用工具や公差によって実際の仕上げ位置は変わります。
なぜ最後の仕上げでビビリやすいのですか?
ねじ溝が深くなるにつれて、刃物が関与する範囲が広がり、切削負荷が高まりやすくなるためです。最後の数回は切り込み量を小さくし、音や切りくずを確認します。
汎用旋盤でビビったねじを修正できますか?
同じねじ溝へ正確にバイトを戻せれば、修正できる場合があります。ハーフナットを入れたまま正逆転する方法では、ねじ溝の位相を保ちやすくなります。
計算値まで切り込めば完成ですか?
完成ではありません。計算値は理論上の基準です。有効径、ゲージ、相手部品との組み合わせなどを確認しながら仕上げます。

まとめ
ねじ切り計算で、加工を始める基準は出せます。
しかし、ねじ切りで本当に難しいのは、最後の数回です。
途中まで問題がなくても、最後だけビビることがある。
そこで音を聞き、切りくずを見て、もう一度同じねじ溝を追えるか。
計算は加工の出発点。最後に仕上げるのは現場の判断です。
計算結果の確認について
このツールは個人が作成したものです。慎重に作成・テストを行っていますが、予期せぬ不具合や計算ミスが含まれている可能性があります。
実際の作業に使用される際は、必ず電卓等で検算を行ってください。
もし計算結果に明らかな誤りや不具合を見つけた場合は、お手数ですがコメント欄やお問い合わせフォームよりご報告いただけると大変助かります。



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