【旋盤作業における怪我、危険な作業】ベテラン旋盤工の経験と教訓!あなたの安全意識を高める。

安全 旋盤

旋盤は金属加工に欠かせない機械ですが、使い方を誤ると重大事故につながる危険な機械でもあります。私も旋盤作業歴20年以上のベテランですが、過去に怪我をした経験があります。本記事では、私の経験談も踏まえて、旋盤作業における代表的な怪我の種類と原因、症状、治療法、そして怪我を防ぐための具体的な対策、後半に私が経験した怪我について、また危険だった作業を解説いたします。

目次

1. 旋盤作業における代表的な怪我

旋盤作業における代表的な怪我は以下の通りです。

1.1 切り傷

原因:

加工時に排出される切粉を手で触る

・製品のバリを触る

・工具に触る、ぶつかる

症状:皮膚や筋肉の断裂、出血、痛み

治療法:縫合、消毒、止血、痛み止め

工場長

一番多いのは、巻いた切粉を素手で触ることです。また、製品のバリに触れてしまったり、工具に触っても切り傷になります。相手は金属や刃物なので、結構深い傷になりがちです。もう一つ深い傷になりがちなのは、刃物に手をぶつけてしまうことです。

ねじ男

私自身、振り返った時に刃物台についている工具に手をぶつけてしまい、手の甲が深く裂けて数針縫合しました。
巻き付いた切粉で切ることはしょっちゅうです。毎回ペンチや金属のフック(簡単に自作できる)で取り除きましょう。
作業の途中で人と話すのは極力避けるようにします。


刃先が鋭利
切粉は鋭利なので危険 1

1.2 巻き込み

原因:衣服や髪や髭(そんな人はあまりいないかと思いますが、私は長いです☆)が回転しているワークやチャックに巻き込まれる

症状:骨折、脱臼、打撲、痛み

治療法:ギプス固定、手術、リハビリテーション

ねじ男

旋盤作業における怪我の中で、切り傷と並んで注意が必要なのが巻き込み事故です。巻き込み事故は、衣服や髪、手指などが回転しているワークや工具に巻き込まれることで発生し、骨折、脱臼、打撲、痛みなどの重大な怪我につながる可能性があります。

◎ 軍手の危険性①

軍手は、旋盤作業における巻き込み事故のリスクを高める危険なアイテムです。その理由は以下の通りです。

・チップが摩耗やチッピングしていると加工面がケバケバになり、触るとひっかりやすくなっており非常に危険です。

対策法:絶対に軍手を嵌めたまま触らない。回転中は近づかない。これに尽きます。

出来れば加工面は常にピカピカにするようにします。また袖や髪の毛も巻き込むので注意します。

ねじ男

軍手には2~5本編みまであり、5本編みは強度が強く巻き込まれたら脱出は困難です。

◎ 切粉による巻き込まれ

写真1.2.のように回転中のチャックに切粉が巻き付いてその切粉に巻き込まれるのも危険です。
対策こまめに切粉は除去しましょう。

仕上げ加工のステンレス鋼は巻きがち
写真1.仕上げ加工のステンレス鋼は巻きがち
巻き付きやすい切粉2
写真2.NCナイロンは普通に加工したらほぼ巻き付く

1.3 打撲

原因:ワークや工具や機械にぶつかる

症状:腫れ、痛み、内出血

治療法:冷却、安静、痛み止め

ねじ男

基本的に周りは金属だらけなのでぶつかったらめっちゃ痛いです。

ねじ男

金属、工具、その他いろいろな物の落下は危険です。足の指先に落とすとほぼ骨折します。安全靴は必須です。

※安全靴のつま先に鉄製と樹脂製がある

鋼製先芯と樹脂製先芯
鋼製:強度が高く、重い
樹脂:軽量で、安全性は鋼製より劣る

1.4 眼球損傷

①原因:切削屑や飛沫が目に入る

症状:視力低下、痛み、充血

治療法:眼科受診

これらの怪我は、いずれも重症化する可能性があり、場合によっては後遺症が残ることもあります。

ねじ男

切粉が目に入ると無意識に目をつむり、まぶたが火傷します。これは眼鏡をかけるしか防ぐ方法は無いような気がします。

切粉カバー
写真1:切粉飛散防止
ねじ男

上の写真1は鉄板を置いただけですが、多少切粉を防ぐことが出来ます。

①原因:目に見えないような鉄粉が舞っている

症状:眼球がチクチク、ゴロゴロする

治療法:目薬をさす、眼科受診

ねじ男

数年に1回くらいなってました。物凄く小さな鉄粉が目に刺さります。眼科に行って取ってもらえるので、なるべく早く眼科にいきましょう。

1.5火傷

原因:切粉を触る、飛んでくる

  • 切粉が熱を持っている
  • 切削後の工具に触れる

症状

  • 皮膚の赤み、腫れ、痛み
  • 水疱の形成
  • 皮膚のただれ、壊死
  • 熱感、かゆみ
  • 場合によっては、痛みやしびれ、感覚障害

治療法

  • 患部の冷却:流水で20~30分冷やす
  • 水疱の破らない
  • 医療機関を受診
  • 必要に応じて、軟膏や包帯による治療

◎ 軍手の危険性②

濡れた軍手で熱い品物や工具を触ると火傷します。もちろん溶接後、焼き入れ直後の品物触るのは、厳禁です。

2. 怪我を防ぐための対策

旋盤作業における怪我を防ぐためには、以下の対策が必要です。

服装を確認する

  • 安全眼鏡:切削屑や飛沫から目を保護
  • ヘルメットもしくは帽子:落下物から頭部を守る
  • 安全靴:足先の怪我を防ぐ
  • 最低限、機械に近づくときには軍手をしない
  • 作業服の腕と足はタブタブなものは避ける

作業前に点検を行う

  • 旋盤本体の異常:異音、振動、油漏れなど
  • 工具の状態:刃物のチッピング(損傷)など
  • ワークの固定:しっかりと固定されているか

安全な作業手順を守る

  • 旋盤の操作方法を理解する
  • 無理な作業をしない
  • 周囲に注意する
  • 作業環境を整える:照明を明るくする、床を清掃する、整理整頓をする
  • 睡眠はよくとる

どれも基本的なことですが、納期に追われたり、オフには遊びにも行きたいでしょう。睡眠に関しては結構難しいと感じます。

顔を洗ったり、ガムをかむなどの対策をして眠たい時ほど注意しましょう。

3. 私の経験談

私は過去に、旋盤作業中に袖を巻き込まれた経験があります。当時は夜遅くまでやっていて、納期に間に合わないと焦っていました。ほんの少しの気の緩みです。

この経験から、回転物にはなるべく近寄らない。近寄るなら2重、3重に注意をして、作業中は常に周囲に注意を払うことの重要性を学びました。慣れてくると、つい忘れてしまいがちなのでブログを書くことにより私自身、定期的に読み返して気を引き締めます。

また、作業手順を守るだけでなく、状況に応じて臨機応変に対応することも重要です。例えば、ワークがビビっている場合は、無理に作業を続けないで原因を調査する必要があります。また紙やすりを使わないで良い様に、寸法や面粗度にも注意を払い、考慮いたします。

過去に起きた事故の事例

クリック↓↓↓

厚生労働省の職場の安全から発信されています。

衝撃な内容も含みますが、気も引き締まります。

4. 安全意識を高めて作業に取り組む

旋盤作業における怪我は、ちょっとした油断が原因で発生します。安全装備を着用し、作業前に点検を行い、安全な作業手順を守ることで、怪我を防ぐことができます。

私の経験談も参考に、安全意識を高めて作業に取り組んでください。

5. その他(旋盤で危険だと思ったこと、危険だと聞いたこと)

  • チャックが飛んだ
    原因:ネジの劣化でボルトが折れました。
    対策:ネジを定期的に変えましょう
  • チャックから製品が飛んだ
    原因①:締めが甘い
    対策:薄物製品のことがほとんどなのでチャッキングの経験を積む、もしくは締めるトルクを管理する
    原因②:突き出しが長い場合はなるべく掴み代を取る
    対策:推奨は全長の3割を爪で掴みます
  • チャックのT溝に入れていた位置出し用のジグが飛んだ
    原因:不注意
    対策:締め忘れないように、途中でお客や電話の対応、他の人となるべく会話はしない
  • クレーンのフックやワイヤーに指を挟まれる
    原因:吊る製品とワイヤーの隙間
    対策:一気に吊り上げない(指が入らない位まで一回、上げてから吊り上げる)
    危険を感じたらすぐに作業を中止する

6. まとめ

旋盤は危険な機械ですが、安全対策をしっかりと行えば安全に作業することができます。

安全意識を高め、上記の対策を講じて、怪我のない旋盤作業を第一に心掛けてください。

最後に、もしものために緊急で行ける病院を調べておくことも重要です。


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